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【富貴寺3】

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1名無しさん???v 2024/11/19 22:14 ?d?b3PC Android


いよいよ阿弥陀如来に会う。

堂内は暗くしてある。
壁画の保護のためだが、すでに剥落も退色も激しい。その壁画を見るための懐中電灯を鏡子さんは持っていた──素人じゃないな。

当時は珍しくなかったという座像の阿弥陀如来。印相(いんぞう・・・指の形)はやはり定印(じょういん)だ。

鏡子さんは正面に正座した。

「妙法蓮華経・如来壽量品第十六~」 

あー、はい。

「じーがーとくぶつらい、しょーしょーきょうこっしゅー・・・・・・」
僕も巻き込まれた形で唱和する。

ここは法華経の最重要チャプターであるから、鏡子さんが知らないはずがない。

「・・・・・・そくじょーじゅーぶっしん」 

数分で、日常茶飯事みたいに読経が終わった。

「南無阿弥陀仏、とは唱えないわよ。私は日蓮宗だから」

僕も日蓮宗ですが、大分県内では天台宗です。

「節操がないわね。いくら根本経典が同じだからって」

まあ、大乗経典の代表格ですからね。

また、如来に正対する。

パンフレットには、藤原時代末期の作と思われる、とある。

法華経は、仏に寿命はない、と説く。

ここでなら、それを信じられる。

僕も寿命がない?
前世があり、来世があるとするなら。

前世でもここに来たに違いない。
来世でもここに来るのだろう。

如来は黙したままだ。 

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